「一度落としたことがあって、彼は必死に探しでした。放課後も残ってまで。それくらい…」
ここまできたら全部話そう。
そう思っていたけれど、美織さんがまた泣き出してしまったため口を閉じた。
「真問が…っ、私のあげたピアス、つけてくれてたんだ…」
ポロポロ泣き出してしまう彼女。
もし隣に座っていたら背中をさすることができたけれど、向かい合っているため叶わない。
「すみません、泣いちゃって……でも今は嬉しくて」
「うれしい…ですか?」
「あれ、中学の時にあげたんです。
真問のことだからアクセサリーも似合うだろうなって。
でもイヤリングを買ったつもりがピアスだったんです。もちろん真問はピアスの穴をあけてなかったし、学校も校則に厳しくてダメだったから…」
今の話を聞いて、お互いがどれだけ大切に想っているのか。
十分に伝わった。



