「あの、さっきはすみません」

「き、気にしないでください…!
誰にでもあると思うので!」


誰にでもあるかはわからないけれど、バカなりのフォローである。


「……夏原さん。
ひとつ質問、いいですか?」

そんな私を見て信用できると思ったのだろうか、また口を開いた美織さん。



「はい、大丈夫です!」
「……真問は私のことを話していたんですか?」


切なげに揺れる瞳。
なんとなく、水瀬くんと重なった。

彼自身も切なげな瞳をしていたから。


「話していたというか…夢の中で美織さんの名前を呼んでいただけです」


あの時の水瀬くんは、とても弱々しかった。
簡単に壊れてしまいそうなほど脆くて。

今すぐにでも泣き出すんじゃないかと本気で思ったほどだ。