「煌哉って本当にわかりやすいんだね」
「……うるせぇ、わかってないくせに」

「いいや、なんでもお見通しだからね」



答えたくないという気持ちが顔に出ている。

ポーカーフェイスと言われている彼は、私の前ではそれを貫くことができないらしい。



このまま問い詰めてやろうと思ったけれど、タイミングよく電車が来てしまい。

結局聞けずに終わり、私たちは満員電車へと乗り込んだ。


「……う」

朝の満員電車に乗り始めて一年以上が経ったけれど、まったく慣れない。


いつも押しつぶされそうになるし、周りの人たちと密着状態が続く。



「いつも危なっかしいよな、千紗は。
怪我しそう」

なんて言って心配してくれる煌哉は私の腰に手をまわしてきたけれど、慌ててその手を払う。