たださすがに席までは近くになれず、今はお互い離れ離れ。

だから今回の席替えで近くなれないかなと密かに期待を抱いていた。


「千紗って急に期待させること言うよな」
「期待って、煌哉も私と同じ気持ちなの?」


そうだとしたら嬉しい。
面倒だと思われていないようで。

よくよく考えれば、私は朝だけでなく勉強面においても煌哉を頼っていた。


「そうじゃねぇよ」
「えっ…」

そんな真っ向から否定されてしまえば、それはそれで悲しい。



「なんだ、つまんないの。
じゃあなんの期待?」

もしかして本当に迷惑がっているのだろうか。


「…………」

「あっ、逃げた!
不利になったら速く歩かないでよ!」


どうやら質問に答えたくないらしい煌哉は、足早に駅へと歩き進めて先に改札を通ってしまう。