「だったら何だよ?」
「えっ、どうして怒るの」
先ほどのかわいい煌哉はどこへやら、不機嫌なオーラを纏っている。
さすがは元不良だけあって放つオーラは周りを萎縮させるものだ。
「別に怒ってねぇ」
「怒ってるよほら、ごめんって冗談だから!」
これだと周りを怖がらせてしまう。
ただでさえ女子は煌哉のことを少なからず怖いと思い、容易には近づけないのだから。
「もうすぐ駅にも着くし、怖い顔しないで」
180越えの煌哉と同じ視線になるため、背伸びをして彼の右頬を軽くつねった。
「笑って煌哉。
かっこいいんだからもったいないよ」
煌哉は不良だったけれど、キレ症でも喧嘩っ早いわけでもない。



