「やっと起きたな。
おはよう、千紗」
「スルーしないで!」
ここ最近、煌哉の起こし方がひどくなっているのは気のせいだろうか。
いや、気のせいではないだろう。
「怒るなよ千紗、な?」
そうやっていたずらが成功した子供のように笑ったって無駄だ、騙されないぞ。
何度も心でそう唱えるけれど、やっぱり煌哉のギャップはダメージが大きい。
「だって今煌哉は私の服に手を入れようとして…」
「あれからキスひとつさせてくれねぇから」
「当たり前でしょ!
そんな毎日キスされてたまるか!」
1週間前、水瀬くんにキスされた日に『上書き』と評してされたキス。
あれ以来、私はキスされぬよう最大限の警戒をしていた。
そのおかげかあれ以来キスをされていない。
これが当たり前なのだけれど、本人は不満気である。