「わかりました。
今回も頑張って乗り切ろうな」
けれど煌哉はそれ以上意地の悪いことは言わず、素直に受け入れてくれて。
思わず安堵の笑みがこぼれる。
「良かった…」
これで私の夏休みは確保されたも同然だ。
煌哉は教え方も上手いため、私も理解しやすい。
「でもひとつだけ千紗に言いたいことある」
「言いたいこと？何？」
そのように改まって言われてしまえば、逆に不安になってしまう。
「毎度毎度、俺は千紗に教えるだけで何も得しないなって…まあ一種の不満」
「えっ…」
それはつまり、素直に教えたくないということだろうか。
もしそうだとしたら私はとても困ってしまう。
煌哉なしではテストなど乗り越えられない。
