「もし私が、水瀬くんに…キスされたって言ったら……どうする?」
もう一度煌哉に背中を向け、恐る恐る口にした。
“もし”とつけたのは、キスされた事実を受け入れたくなかっただけ。
けれど頭の中にある記憶は消えてくれないのだから、吐き出してしまいたいのもまた事実で。
口にしてしまったということはつまり、事実だと認めてしまったようなものである。
夢であってほしかったな、と思いまたため息を吐いたその時。
「……わっ」
突然肩を掴まれたかと思うと、無理矢理振り向かされた私。
それも掴まれた手の力はなかなか強くて、抵抗する間もなかった。
「それ、マジで言ってんのか?」
当然のように視界に映る煌哉の姿。
そんな彼は目を見張っており、明らかに驚いている様子。



