もちろん私はそれに反応せず、席へと座ってプリントの束を机に置いた。
厚意って何?
私にキスしたこと?
それとも煌哉との関係を“壊そうとした”こと?
「…はぁ」
本当に無理だ。
水瀬くんのことを嫌いになるばかりで。
「……千紗」
「あっ、煌哉…教室でいい?」
「別にどっちでもいいけど」
「ありがとう」
朝までは煌哉を避けていたけれど、昼休みにあんなことがあったのだ。
煌哉を避けようとしていた気持ちはいつの間にか消えていた。
そのため煌哉のほうに椅子を向け、机を挟んでふたり向き合う形で座る。
「結構量あるな」
「そうなんだよね…もう本当に最悪」
「でもなんで無理だったんだよ。
昨日やったところは全部出たのに」
「うっ…」
それは聞かないで欲しかった。
答えたくない私は咄嗟に視線を彼から外す。



