……言い過ぎたかな。

ちょっと反省して、私はリタの肩に手を回した。

リタの肩がビクッと跳ねたけど、ぽんぽんって、お父さんがよくしてくれるように優しく肩を叩いて手を置いた。



「ドラコは……リタにとって、好きになっちゃいけないヒトなの?……婚約者がいるとか?」

よくわからないので、聞いてみた。


リタはしゃくりながら答えてくれた。

「……いない。でも、私じゃないから。」


リタじゃない?

……あーーーーー。

そういうことか。


「ドラコは、他の誰かを一途に愛してるってこと?でも、この世界ではもうとっくに結婚してる年齢なんでしょ?ドラコぐらい素敵なら断る女性いないと思うけどなあ。何で……。もしかして、亡くなったヒトを忘れられないとか?」


リタの顔がゆがんだ。

「冗談でもそんなこと言わないで。まいら、意地悪いとこが、イザヤどのに似てる。」


え!

それは、ちょっと……ショックかも。



絶句して目を見開いた私に、リタは慌ててフォローしてくれた。

「あ。ちょっと違った。意地悪じゃなくて、口が悪いのかな。2人とも、楽しそうに挑発してくるよね。」


どっちにしても、けっこうなショックを受けた。


「……ごめん。そんなつもりはなかったんだけど……私の言動が、リタを傷つけたり、不快にさせてたら、ほんと、ごめん。」


リタは苦笑した。

「ま、おあいこ、ってことで、いいんじゃない?」


その笑顔も、言葉も、口調も、今までより打ち解けてくれたように感じられた。

ただの勘違いかもしれないけれど。




「じゃあ、質問を変えるね。ドラコの好きなヒトって、だぁれ?」

開き直って私がそう尋ねると、さすがにリタは驚いたらしい。

「馬鹿じゃない?ってぐらい打たれ強いとこも似てるわ、イザヤどのと。」

「いや、それ、マジで傷つくから。」


笑って冗談っぽくそう返したけれど、私はさらに膝を詰めた。

「ドラコは好きなヒトがいるのに、リタに関係を無理強いしたの?それとも、リタを拒絶したの?」


どちらもドラコらしくない気がして、私は自分の質問に失笑して言葉を継いだ。


「……んなわけないよね。はは。……もしかして……リタも私と同じ?リタ、ずっとドラコに憧れてたのね?ドラコの好きなヒトは……イザヤの婚約者だったりする?」

どさくさ紛れに、相手も特定して確認してみた。