ドラコを見送ってから、イザヤは軍服に着替えて登城した。

王や宰相に、報告・連絡・相談しなければいけないらしい。

……働くヒトがよく言う「ほうれんそう」ってやつ?

異世界でも、社会のシステムは大差ないのかもしれない。


てゆーか!

イザヤは、せっかく久しぶりの休暇のはずだったのに。

オースタ島に連れてってくれるはずだったのに。



あーあ。

つまんないの。


私は執事さんにお願いして、お台所で夕べの鳩の残り肉を使ったサンドイッチを作らせてもらって、リタの部屋を訪ねた。



たった1日顔を合わせてないだけなのに、リタは憔悴していた。

たぶん泣き明かしたのだろう。

目は腫れて小さくなって見えた。



「リタ。これ。鳩のサンドイッチ。それから、紅茶。」

そう言ってサンドイッチのお皿を差し出す。


「ありがと。」

リタは珍しくしおらしかった。



モソモソと食べ始めたリタを見ながら、紅茶を入れた。

私の分も一緒に。


「ね。ガールズトーク、しよっか。」

私はリタにすり寄った。


「なに?それ。」

リタは逆にちょっと肩をすかしたけど、私は気にせず再びすり寄った。

「男抜きの、女同士のミーハートーク。……正直なところね、私、ドラコがあんなに素敵な騎士さまだと思ってなかったから、びっくりしちゃった。めちゃめちゃかっこいいね。」


リタはびっくりした顔をして、それから、怪訝そうに私を見た。

「あんた、自分の立場、わかってんの?」

「立場って。イザヤの被保護者。」

私は卑屈にならないように、胸を張ってそう言った。


「ふぅん?」

リタは首を傾げていたけれど、息をついた。