「そなたのものになった記憶はないな。……私の知る限り、同じ名前の男には今のところ遭ったこともない。そなたの名は?」
私は慌ててイザヤという見ず知らずの男の顔から手を離した。
「ごめんなさい。あの、いざやは青い小鳥で、すごく弱い子で、さっきまで私の手の中にいたんだけど……」
オロオロしてそう言うと、男は鼻で笑った。
「青い鳥なら、そこにいるじゃないか。……そうか、こやつと私が同じ名前なのか。」
そう言って、イザヤは私の雨合羽のポケットを指差した。
確かに、白い半透明の生地に透けて小さな青い塊がゴソゴソと動いていた。
「いざやー!」
慌ててポケットに手を入れて愛鳥を掬い上げた。
「マイラ。オチタ。イザヤ。オチタ。」
伊邪耶は、私の肩に飛び上がり……というよりは、よじ登ってきて、そう言った。
私の不安そうな声で。
「ほう?こやつ、話せるのか。」
ひょいと、イザヤは鳥の伊邪耶をつまみ上げた。
爪がなく、脚の指も短い伊邪耶は、踏ん張ることができないので、何の抵抗もできない。
「マイラ。マイラ。オチタ。」
と、それでも私に助けを呼んでるように感じた。
「いざや!」
慌てて私はイザヤから伊邪耶を取り戻した。
イザヤはムッとしたように私を睨み付けた。
そして、私の寝ていた白い台にヒョイと腰掛けた。
軽やかな身のこなしが、何だか妙にかっこよかった。
……さっき、近衛騎士団長って言ってたっけ?
まだ若そうに見えるんだけど、偉いヒト?
確かに偉そうな空気を醸し出してはいるし、何となく細マッチョっぽい風体ではあるのよね。
それにしても……コスプレ?
燕尾服のように、前が短く後ろが長いけれど、かっちりしてない柔らかそうな上衣。
素材は何だろう。
絹のようになめらかで光沢のある布のずるずるした感じの衣服。
てか、現代日本の話じゃないよね……。
日本の自衛隊に外国人部隊はないはず。
このいかにも明るい髪と青い瞳のイザヤと名乗る青年は日本語を話してるけど……ん?……本当に、話してるか?
ざわざわと違和感を覚えた。
イザヤの唇は動いているし、意志の疎通もできている。
でも、何かが違う気がした。
「まいら。それがそなたの名か。歳は?どこから来た。」
ん?
私、尋問されてる?
私は慌ててイザヤという見ず知らずの男の顔から手を離した。
「ごめんなさい。あの、いざやは青い小鳥で、すごく弱い子で、さっきまで私の手の中にいたんだけど……」
オロオロしてそう言うと、男は鼻で笑った。
「青い鳥なら、そこにいるじゃないか。……そうか、こやつと私が同じ名前なのか。」
そう言って、イザヤは私の雨合羽のポケットを指差した。
確かに、白い半透明の生地に透けて小さな青い塊がゴソゴソと動いていた。
「いざやー!」
慌ててポケットに手を入れて愛鳥を掬い上げた。
「マイラ。オチタ。イザヤ。オチタ。」
伊邪耶は、私の肩に飛び上がり……というよりは、よじ登ってきて、そう言った。
私の不安そうな声で。
「ほう?こやつ、話せるのか。」
ひょいと、イザヤは鳥の伊邪耶をつまみ上げた。
爪がなく、脚の指も短い伊邪耶は、踏ん張ることができないので、何の抵抗もできない。
「マイラ。マイラ。オチタ。」
と、それでも私に助けを呼んでるように感じた。
「いざや!」
慌てて私はイザヤから伊邪耶を取り戻した。
イザヤはムッとしたように私を睨み付けた。
そして、私の寝ていた白い台にヒョイと腰掛けた。
軽やかな身のこなしが、何だか妙にかっこよかった。
……さっき、近衛騎士団長って言ってたっけ?
まだ若そうに見えるんだけど、偉いヒト?
確かに偉そうな空気を醸し出してはいるし、何となく細マッチョっぽい風体ではあるのよね。
それにしても……コスプレ?
燕尾服のように、前が短く後ろが長いけれど、かっちりしてない柔らかそうな上衣。
素材は何だろう。
絹のようになめらかで光沢のある布のずるずるした感じの衣服。
てか、現代日本の話じゃないよね……。
日本の自衛隊に外国人部隊はないはず。
このいかにも明るい髪と青い瞳のイザヤと名乗る青年は日本語を話してるけど……ん?……本当に、話してるか?
ざわざわと違和感を覚えた。
イザヤの唇は動いているし、意志の疎通もできている。
でも、何かが違う気がした。
「まいら。それがそなたの名か。歳は?どこから来た。」
ん?
私、尋問されてる?



