ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

「いざや!」

「……ここに、いるが?」

低い男性の声がした。


ぐるりと壁だと思っていたけれど、よく見ると継ぎ目はドアだったらしい。


目の端に映った人影に、ギクリとした。


外国人?


少しうねりのある明るい栗色と金髪の間ぐらいの長い髪を、無造作に右耳の下あたりで束ねた……男……。



え?

でも、さっき日本語だったよね?


改めて、マジマジと見る。



……うん……男性だ。


めっちゃ綺麗だけど。


白いけど。


まつげバシバシだけど。


あ……綺麗な青い瞳。


ちょうど、伊邪耶の羽根と同じ色……そうだ!


「いざやは、どこ?」

「……私、だと言っている。」


美しい男はそう言って、少し上半身を屈めるようにして、じっと私を見た。



何言ってるの?


え?

まさか……え?ええっ!?


いざや?

いざやなの?



「お兄さんが?いざやだって言うの?」


重ねてそう聞いた私に、いざやと名乗る男は肩をすくめた。


「しつこいな。」



えええええ?

小さな青い鳥が、青い瞳のイケメンに変身しちゃったのぉ!?


なんで~~~?



「いざや……何で?」


私は両手を伸ばして、いざやと名乗るどう見ても外国人男性の頬に触れた。


「めっちゃカッコいいけどさ、何で、ヒトになったん?これ、夢?」


いつもやるように、すりっと頬をすりつけた。



……あの気持ちいい羽根の感触じゃない。

ヒトの肌だ。




「あ!指は!?足!大丈夫?……普通に歩けるの?」


「……さっきから、そなたはいったい何を言ってるんだ?」


青い瞳が冷たい光を反射させた。



「何って。お兄さん、いざやなんでしょ?」


そう確認したら、彼はもっともらしくうなずいた。


「だからそう言ってる。イザヤだ。オーゼラ国の近衛騎士団長のイザヤだ。そなたは、何者だ?」



……はぁ?

何言ってるの?


いざやぁ?




まじまじと至近距離から青い瞳を覗き込む。


不思議な青い瞳……。


嘘は言ってない気がする。


えーと……オーゼラ国って、何ですか?

聞いたことないんやけど。




「あのぉ、私のいざやじゃないの?」


恐る恐るそう聞いたら、イザヤと名乗った男は首を傾げた。