自室に戻ってすぐ、ノックなしでイザヤが入ってきた。
「クラヴィシンの調律ができたそうだ。」
うれしそうなイザヤに、今さら、ノックしろとも、女の部屋に入るなとも言えなかった。
……たぶん今後のために、ちゃんと文句言っとくべきだったのにね。
「調律?ずっと弾いてなかったの?」
「いや。すぐに音が狂うから、弾く前に必ず調律するのだが……そなたの世界では調律しなくていいのか?」
必ず?
しないしない。
うちのピアノなんか、1年に1回だもん。
「私の思ってるのと違う楽器なのかも。」
かなり不安になり、鳥の伊邪耶にそっと触れた。
「イザヤ、カワイイ……」
私の気持ちが伝わるらしく、伊邪耶も自信なさげな小さな声を出した。
案内された部屋は、いわゆる「サロン」?
装飾過多なゴージャスな広いお部屋に、凝ったテーブルセットやカウチ、ソファがあちこちに配されていた。
中央には、白い小さな……ん?
形はグランドピアノだけど、かなり小さくて、華奢だ。
これって、チェンバロ?
バロック楽器に見える。
鍵盤は、白黒逆で、奥行きは短く、幅はやや広く感じた。
……弾けるの?私に……これ。
「弾いてみよ。……こい。」
イザヤは私を鍵盤の前の椅子にいざない、鳥の伊邪耶を自分の肩に乗せた。
私は、黙って鍵盤に指を置いた。
……ピアノとは全く違う!
オルガンやエレクトーンとも違う、優しい気の抜けた音。
何か、お母さんみたい。
ちょっと楽しくなってきた。
私は短調の曲が好きなんだけど、この楽器には明るい曲が似合う気がした。
猫ふんじゃった、とか。
キラキラ星、とか。
「なんだ?その曲は。まいらに似て、変な曲だな。」
イザヤはそうけなしたけど、その表情は楽しそうだった。
「まともな曲って、あんまり覚えてなくて。んー……暗くていい?」
むかーし発表会で弾いた曲。
短調ばかりを好んだから、私のレパートリーは全部暗い。
「かまわぬ。弾いてみろ。」
イザヤに促されて、一番よく弾いていた曲を弾いた。
ラモーのタンブーラン。
ピアノで習ったけど、もともとはチェンバロの曲だしちょうどいいよね。
……うーん……暗い……
何てゆーか、ピアノで弾くより哀愁が増長されてる。
「クラヴィシンの調律ができたそうだ。」
うれしそうなイザヤに、今さら、ノックしろとも、女の部屋に入るなとも言えなかった。
……たぶん今後のために、ちゃんと文句言っとくべきだったのにね。
「調律?ずっと弾いてなかったの?」
「いや。すぐに音が狂うから、弾く前に必ず調律するのだが……そなたの世界では調律しなくていいのか?」
必ず?
しないしない。
うちのピアノなんか、1年に1回だもん。
「私の思ってるのと違う楽器なのかも。」
かなり不安になり、鳥の伊邪耶にそっと触れた。
「イザヤ、カワイイ……」
私の気持ちが伝わるらしく、伊邪耶も自信なさげな小さな声を出した。
案内された部屋は、いわゆる「サロン」?
装飾過多なゴージャスな広いお部屋に、凝ったテーブルセットやカウチ、ソファがあちこちに配されていた。
中央には、白い小さな……ん?
形はグランドピアノだけど、かなり小さくて、華奢だ。
これって、チェンバロ?
バロック楽器に見える。
鍵盤は、白黒逆で、奥行きは短く、幅はやや広く感じた。
……弾けるの?私に……これ。
「弾いてみよ。……こい。」
イザヤは私を鍵盤の前の椅子にいざない、鳥の伊邪耶を自分の肩に乗せた。
私は、黙って鍵盤に指を置いた。
……ピアノとは全く違う!
オルガンやエレクトーンとも違う、優しい気の抜けた音。
何か、お母さんみたい。
ちょっと楽しくなってきた。
私は短調の曲が好きなんだけど、この楽器には明るい曲が似合う気がした。
猫ふんじゃった、とか。
キラキラ星、とか。
「なんだ?その曲は。まいらに似て、変な曲だな。」
イザヤはそうけなしたけど、その表情は楽しそうだった。
「まともな曲って、あんまり覚えてなくて。んー……暗くていい?」
むかーし発表会で弾いた曲。
短調ばかりを好んだから、私のレパートリーは全部暗い。
「かまわぬ。弾いてみろ。」
イザヤに促されて、一番よく弾いていた曲を弾いた。
ラモーのタンブーラン。
ピアノで習ったけど、もともとはチェンバロの曲だしちょうどいいよね。
……うーん……暗い……
何てゆーか、ピアノで弾くより哀愁が増長されてる。



