ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

「……力およばず……済まない。」


これは悪夢だ。

国は違えど、ドラコとイザヤは互いを認め合う、いい友達関係だったのに……。



「ドラコが、イザヤを、殺すの?」

自分の発した言葉の禍々しさが、気持ち悪い。



ドラコは、俯いたまま

「任務だ。すまぬ。許せ。」

と返答した。



リタが静かに泣いていた。

ドラコの代わりに泣いてるみたい。



私は、私は……。


「ごめん。頭ではわかってても……無理かも。……もしここにイザヤが来たら、私は全力で、ドラコからイザヤを守る。」


敵うわけがない。

わかっていても、諦められない。




私の決意は、ドラコを驚かせたようだ。

「馬鹿なことを。そなたに何ができるというのだ。邪魔立てすると、まいら、そなたも殺さねばならないのだ。頼むから、諦めて、おとなしくしていてくれ。……生涯、私を恨んでくれていいから。」



こんなときなのに、くすりと笑えてしまった。



私は、ヘルムの隙間から覗くドラコの左目を見据えて、宣言した。


「殺すなら殺せばいい。イザヤを独りで逝かせへんから。ドラコと刺し違えても、イザヤを逃がす。」




ドラコはたじろぎ、ティガはため息をついた。


「……どこへ行くと言うのですか?この世界に、もはや、イザヤどのが生きる場所は、ありませんよ。どこへ逃げても、追いつめられ殺される。討伐令とは、そういうものです。」



ティガの言うとおりだ。


でも、あきらめたくない。

イザヤを見殺しになんかしない。



「この世界で生きられへんなら、私の世界に連れてく。」


自分でも、めちゃくちゃなことを言ってる気がした。




でも、ティガは手を打った。

「なるほど。その手がありましたか。それでまいりましょう。」


へ?


「何を言ってる?」


ドラコに尋ねられ、ティガは微笑んだ。


「2人は異世界に行ってしまったことにして、安全なところに匿いましょう。しばらくは不自由でしょうが。」


「この世界に、そんな場所はない。……今、ティガもそう言ったじゃないか。……無理だ。」


ドラコの否定を気にせず、ティガは私に言った。

「まいらと、お腹の子と共に、ひっそりと暮らせるようにいたしましょう。しばらくは神宮の中に隠れ住むのはいかがですか?あそこなら治外法権でしょう。」