ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

……何だか、また気持ち悪くなってきた。

私は、胸を押さえて、うつむいた。


見かねたリタが、背中をさすってくれた。


「……ありがとう。リタ。……これって、つわりなのかな。」

「たぶん。……でも、私の時は、食べ物の匂いとか、香油で気持ち悪くなったけど……今、原因になりそうな匂い、ないんじゃない?」


リタに指摘され、私はくんくんと鼻に集中してみた。

……うん。

何も匂い、ない。



もしかしたら……自律神経失調症とか、ストレスとか……なのかもしれない。


てか、妊娠じゃなくて、想像妊娠の可能性は?

そもそも、異世界人の子供を産むことって可能なの?


こっちに来てから、傷の治りがものすごく遅かったり、血が止まらなかったり……あかん、考えはじめたら、めっちゃ心配になってきた。



不安いっぱいな私をリタもティガも、心から励ましてくれた。



ティガは、すぐにドラコに、そしてイザヤに書状を送ったらしい。

しかしドラコは既に任務でカピトーリを離れた後だった。


そして、イザヤもまた……所在不明……だそうだ……。



さすがに楽観的ではいられなくなってしまった。




このご時世、まさかミシルトと新婚旅行というわけではないだろう。

イザヤも、ミシルトと行動を共にしているのだ。


つまり、粛正対象にイザヤも含まれてしまうのだろう。


……イザヤ……。

どうか無事でいて。


……胸が……痛いよ……。



***


私のお腹が通常よりも少しだけ膨らんだ頃、イザヤのお姉さんから書状が届いた。


さすがに水茎の跡がうるわしい。


でも、書いてある内容は……ただただ私への謝罪。


イザヤは、ミシルトたちと共に行ってしまったそうだ。

鳥の伊邪耶は、お姉さんが保護してるはずだったのだが……イザヤを追って飛び出したとか。


……いったい、何が起こっているのだろう。



見当もつかないので、ティガにも書状を読んでもらって、状況を推測しあった。


「……間に合わなかったのですね。あとは、ドラコにすがるしかありませんね。」

ティガは陰鬱なため息をついた。



私は、とても達観できなかった。


「ドラコから、書状は?」

「……いくら双子でも、遂行中の任務を漏らしてはもらえませんよ。」


そりゃそうだ。