ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

……そういうものなの?


多少納得いかないものの、恥ずかしいので、それ以上は口をつぐんだ。


それより、妊娠だ。

どうしよう?



「……これ、イザヤに知らせるべき?」

途方に暮れて、ティガに聞いてみた。



保護者を自認するティガは、大きく頷いた。

「当たり前です。……それでイザヤどのがこの館に戻って穏やかに暮らしてくださるのなら、それに越したことはありません。……まいらも……異世界の女性は、出産すると子供のためにこの世界で前向きに生きる気になるかたが多いそうですので、よい方向へ導かれることとなりましょう。」


意外と、ティガはニコニコしていた。


もちろんリタの時ほどではないが……私の妊娠を喜んでくれているように見える。

……子種はなくても、子供好きなのかな。



いつまでもぐじぐしている私に、ティガは痺れを切らしたらしい。

「私からイザヤどのにご報告いたしましょう。少し、急いだほうがよいかもしれません。」


「……何かあるの?」

胸がまたざわつき始めた。



不安そうな私に、ティガは敢えて微笑んでくれた。

「まいらが、そんな顔しなくていいように、イザヤどのに帰館していただくのですよ。」


明らかに誤魔化したのは、ティガの優しさ。



私は苦笑して、うなずいた。

「ありがとう。気遣ってくれて。……でも、教えて。ドラコの粛正対象に、イザヤが関係しているの?」




ティガは笑顔をおさめてしまった。

そして、小さく息をついた。

「わかりません。ドラコの手紙には、詳しいことはありません。……ただ……ミシルトさまの周囲に、かつてインペラータが征伐した国々の残党が集まっていることが気になります。……イザヤどのも含めて。」



ギクリとした。


私が言葉を交わしたのはニコルスだけやけど、確かに他にも大勢いると言っていた。

ティガが知ってるぐらいだから、当然、ドラコも把握しているのかもしれない。


……あえて、泳がされてたりして……。


想像して、ぞっとした。




「オピリア遠征の前に、ミシルトを捕らえるってこと?」

「……私の思い過ごしであってほしいのですが……もしかしたら、そうなるかもしれません。ですから、イザヤどのに嫌疑の掛かる前に、何とかこちらに戻って来られるとよろしいのですが。」