ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

いずれ、そう遠くない時期に、イザヤはミシルトとともにオーゼラに戻ってくることになるはずだ。


でも私は、先に戻っていたほうが、ティガやドラコからまた有益な情報を得られるだろう。


2人を敵に回すつもりも、裏切る気もないけれど……無理やり引き離されても、なお、オピリア王のために戦おうとしているミシルトを応援したいと思い始めていた。

……オーゼラを滅ぼしたインペラータを許せない気持ちもあったかもしれない……。


私でさえ、そんなふうに思うんだから、イザヤはもっと複雑だろうな。


もしかしたら、ミシルトに全面協力して、共にインペラータと戦おうとするかもしれない。



さすがにそれはやめてほしいんだけど……。




ため息をついて……ふと、気づいた。

ドラコも何となく元気がない?

ぼーっとしたり、ため息をついたり……ドラコらしくない物憂げな表情。


「……どうしたの?シーシアに、なんかあった?」


ようやく着いた豪華な宿の部屋で、そう聞いてみた。


言葉にしてから、思い出した。

そういや、リタの妊娠、もう知ってるのかな?



「……シーシアさまは、ご健勝だが……」

それだけ言って押し黙ってしまった。



「リタには会った?」


私のその一言で、ドラコはあからさまに動揺を見せた。

立派な体躯の凛々しい将軍が、色を失い、あわあわしてる……。


「ドラコ?」

金色の目を覗き込んだ。


動揺できらきら輝いている。


……綺麗だなあ……と、見とれた。



ドラコは、恥ずかしそうに私から目をそらした。


天を仰ぎ、観念したように白状した。


「会ってない。が、事情は聞いた。……シーシアさまから……。」



……ご愁傷様、の言葉を飲み込んで、私は笑顔を作った。


「そっか。リタ、前よりしっとりして、美女感増し増しやわ。……大切に、してあげてね?」


最後は、伸び上がって、わざわざドラコの目を覗き込んで念押しした。


ドラコは、低く唸って頭を抱えた。



「……まあ、気持ちはわかるけどさ……その、如何にも、困ってるの、リタに見せんときや。傷つくで。嘘でも、喜んで、ねぎらってあげて。」


ドラコは、がばっと顔を上げて、大きくぶんぶんと首を回した。

「嘘はない!……いや、確かに、驚いたし、困惑もしたが、うれしくないわけではない!」