ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

だから、それでも妹として愛情を注いでくれたシーシアを信望しているんだろうな。

ティガがリタの妊娠をあんなに喜んでいたのも、そういうことなのだろう。


それに、リタが、このミシルトとイザヤの結婚で私を心配してくれた意味も、ようやく少しわかった気がする。



ありがとう、リタ。





私は、ミシルトを見据えて言った。

「リタは、シーシアの異母妹よ。存在を隠されて育ったけれど、溌剌とした、とっってもイイ子。シーシアも、ティガも、……ドラコも、リタを大切にしてた。ね!?イザヤ!」



またしても突然話を振られて、イザヤは目を見開いて、ただコクコクと何度も頷いていた。



ミシルトは興味なさそうに聞いていた。


伝わらないことに歯がゆさを感じながら、私は続けた。

「私も……リタに激甘なティガに苛立ったから、ミシルトの気持ちはわからいでもないけどさ……私が好きなのはイザヤだから、むしろ、私のほうがミシルトに敵対心持つ立場やからね。」




へらっ……と、イザヤの口元が緩んだ。


頭がお花畑って、こういう人のことを言うんだよ……と、言いたくなったけど、さすがに口をつぐんだ。



ミシルトは、怪訝そうというか……変なモノを見る目で私を見ていた。



やっぱり伝わらない……かあ。






「ふーん。わからんでもないな。」

二コルスがポソッと呟いた。



ミシルトがジロリとニコルスをねめつけた。



苦笑しながら、二コルスが言った。

「……ほら。主従じゃない俺でも王妃に逆らえないってのに、この異世界のお嬢さんは、今をときめくインペラータの皇族の姫と対等だ。……身分も階級もない世界に生きてたんだろう?おもしろいじゃないか。俺でも色々、話を聞いてみたいと思うぜ。」



王妃……二コルスはミシルトを王妃と呼ぶんだ……。


てことは、ミシルトが出戻ってからじゃなくて、オピリアの王妃だった時から知っている……けれど、仕えているわけじゃない……。



興味津々の私に、二コルスはニッと笑いかけた。



イザヤが慌てて、私の側にぴったりとくっついてきた。

牽制のつもりらしい。



見上げると優しいまなざし。

自然と頬が緩んだ。



「……妻はわたくしなのに、偉そうに。」

ミシルトはそう言って、……ふふ……と、小さく笑った。