ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

言葉に出したら、ミシルトは両耳を塞いでぶるぶると首を横に振った。


……全く否定になってないんだけど……。




さすがにイザヤも、自分に対する態度との違いから、ハッキリと察したらしい。

「……また、ティガか。」

と、淋しげにぼやいた。




……なるほど。

シーシアもティガを慕ってたみたいだし……イザヤの結婚相手のお姫さん、2人ともティガが好きだったってことか。




ニコルスが、ぽんとイザヤの肩を叩いた。




ミシルトは、私のレモン水を、一気に飲み干してから否定した。

「違います!わたくしのお慕いするのは、陛下だけです!……ティガは……幼い頃は憧れていましたが、わたくしは相手にされませんでした。……軽蔑されてると思ってたから……そんな風に誉めてもらえてるって聞いて、うれしくなっただけです……。」





……陛下……。

言っちゃったよ。


陛下だけって、思いっきり限定しちゃったよ。


……夫のイザヤの立場ないやん。





ニコルスが、再び、イザヤの肩をぽんぽんと、二度叩いた。






「陛下って、北の国の?オピリアの王様?……ミシルトの結婚してたひと?……じゃあ、やっぱり、白い結婚じゃなくて、普通にちゃんと結婚してたんや……しかも、らぶらぶ……」





「らぶらぶ、だったのか……」


私に同調するイザヤの複雑そうな顔が、なんか……かわいかった……。




「だいたい、わかった。……気がする。……うん。」

改めてミシルトに向き合った。


ミシルトは失言を後悔しているらしく、ばつの悪そうな顔で……後ずさりした。



「とりあえず、ティガが原因で私に反感もつのは、お門違いやで。私の、この世界にはない価値観と知識を利用したいだけやねんから。……ティガが無条件で可愛がってるのは、リタだけ。まあ、それも恋愛感情じゃないけど。」


私は諭したつもりだったけれど、ミシルトには伝わらなかった。



「なぁに?……りた?……人の名前?ペットか何かですの?」



びっくりした。


「……えーと……ミシルトって、シーシアの従姉妹なのよね?……リタ、知らないの?」




ミシルトは肩をすくめた。




そうか。

リタって……私が思ってた以上に……親戚にすら認知されてないんだ……。


本当に、忌み子だったんだ……。



ちょっと……泣きそう……。