ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

改めてつきつけられた現実に、私は打ちのめされた。


涙が止まらない。

浮気者と罵るのは、お門違いだろう。


仕方ない。

あきらめるしかない。

割り切るしかないんだ。



自分に言い聞かせて、私はイザヤの胸にしがみついた。

そして声を殺して、むせび泣いた。



イザヤは、黙って私の背を撫でていた。


絶望が薄らぎ、心が穏やかに凪ぐまで……私はイザヤの胸で泣き続けた。



***


朝が来た。


お姉さんの執事さんが、私達を小部屋から出してくれた。



イザヤは泣き疲れてぼーっとしてる私をお姫さまだっこでお風呂に運んでくれた。

そのまま、当たり前のように、一緒に入った。


お湯に浸かりたいけれど、傷が多すぎて断念した。


それに、やっぱり左足は折れているか、……あるいは靭帯が傷ついたのかもしれない。

笑えるぐらい腫れている。



イザヤは、そろそろと私に少しずつお湯をかけ、優しく洗ってくれた。


「気持ちいい……。」


その言葉がまた、イザヤの性欲に火をつけたらしい。

座位で貫かれた。


……元気だなあ……イザヤは。


さらにぐったりしてしまったため、私はイザヤの寝室のベッドに運ばれた。


鳥の伊邪耶が大騒ぎで迎えてくれた。


「いざやぁ。逢いたかったぁ。」

「鳥は、あとだ。とにかく寝ろ。身体を休めてからだ。」



イザヤに止められたけど、それも愛情ゆえと我慢した。


再び薬を塗りたくられ、足首を添え木で固定された。


「一緒に、寝る……。」


そうおねだりしたら、当たり前だとイザヤも私のすぐそばに横たわった。


「そなたが失踪したと聞いて、昨日から一睡もしてないからな。」

「……ごめん。心配かけて……。」

「いや。こうして抱きしめることができたから、もう、よい。……少しだけ、眠ろう。」



イザヤはそのまま寝息をたてはじめた。


通った鼻筋も、ばちばちの長いまつげも、赤い唇も……あー、もう、食べてしまいたい!……てくらい、愛しかった。


すぐに私も眠りに落ちた。


鳥の伊邪耶の鳴き声が子守歌になった。


***

どれぐらい時間が過ぎたのだろうか。

身体がものすごく熱くて……身体中にべったりと嫌な汗をかき、気持ち悪くなって目覚めた。