ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

そう声をかけると、元気な声が返ってきた。

「失礼しまーす!」


ガチャリとドアが開き現れたのは、髪の短い女の子だった。

鼻筋の通ったお鼻と、明るい黄緑の大きな瞳の、美少女だ。

私と同じぐらいの歳だろうか。


髪も私と同じような黒の強い褐色だけど、ベリーショートというか……無造作にジャキジャキにハサミを入れたのか、なかなかに思い切った髪型だ。


……まるで、収容所に入るために髪を刈られたような……痛々しさを感じた。



「おはよー!ティガが着替えておいでって。まいら?私、リタ。」

初対面なのに、あまりにもフレンドリーで驚いた。


見た目の印象とは正反対の明るさだ。


あ。

瞳、綺麗。

きらきらしてる。

黄色の強い黄緑色の、宝石のような瞳。



「はじめまして。リタ。着替えって……」

リタの服の素材もよくわからない、柔らかそうなものだった。



夕べ、イザヤは光沢のある絹のような素材で、上衣の後ろの裾が長いけど下はタイトだった。

ティガは、麻のような風合いで、上衣も下もずるずるだった。

でも目の前のリタは、綿のような布で、形はTシャツ&Gパンのようにラフに見えた。

何でもありなのかな?ここ。


ちなみに、私に準備されていたのは、クラッシックなラインのワンピース。

……系統バラバラで面食らうわ。


下着はともかく、ワンピースは独りでは着られないものをわざと準備されたのかもしれない。

背中に小さなボタンがずらりと縦に並んでいて、誰かに手伝ってもらわないと脱ぐことも着ることもできないシロモノだ。


が、身につけてみて驚いた。

軽い。

そして、ものすごく楽ちん。


布が伸縮するなんてもんじゃない。

まるで裸のままのような身軽さと解放感のある素材だった。


光沢は絹っぽいんだけど、これ、いったい何だろう。




私の着替えを、手伝ってくれたリタは、当然のように私の着ていた衣服を回収するらしく、持ってきた透明の袋のようなモノを広げて収納した。



「それ、どうするの?」

そう聞いたら、リタはニッコリ笑った。

「ティガが記録とったら、ちゃんと返してくれるから。安心して!」


そして、屈んでベッドの下を覗き込んだ。


「排泄してないの?身体壊すよ?」


……と言われても……


恥ずかしがってもじもじしてると、リタが快活に笑った。