ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

イザヤは笑った。

「差し伸べた手ではなく、腕をがっしり掴むのが、何とも、そなたらしいな。」


……必死すぎたかしら……。

ますます気恥ずかしくて、私は、イザヤの腕にしがみついたまま、うつむいた。


「まいら。下を向くな。顔を上げよ。……決して美女ではなくとも、私はそなたの顔をいつも見ていたい。一喜一憂し、赤くなったり青くなったり、泣いたり笑ったりする、かわいいそなたを見ていたいのだ。」


ひゃーーーー。

恥ずかしい!

そんな恥ずかしいこと、……ひゃー!



逃げ出したいほど恥ずかしいけれど、舟の上ではどうしようもない。




私は渋々顔を上げた。


イザヤは不自然なまでに前傾し、私を至近距離の真上から見つめていた。


「……まいら……。」

美声がかすれた。


愛しげに目を細めて、イザヤが私を見つめる。

明るい蒼の瞳に、私が映っているのが見えた……ああ、また目を閉じないと怒られるかな……。


もったいないなあ。

名残惜しいけれど、甘い甘いキスの味を覚えてしまった……。


イザヤの舌でくすぐられ、絡め取られる心地よさを期待して、私はそっと目を閉じた。



「……ダメだ……オースタ島まで、我慢できない。」

不穏な言葉をつぶやいて、イザヤは私をむさぼった。




鳥の伊邪耶は空気を読んだのだろうか……自ら小さな鳥籠に戻った。





2つの太陽がまだまだ燦々と輝く冬の湖の上で、2度めの契りを交わした。





夕べの破瓜の出血は、まだ完全には止まっていなかったけれど……痛みはなかったので気にしないことにした。


イザヤは、痛くならないようにと、いっぱい気持ちよくしてくれてから、入ってきた。

痛いどころか、ぞわぞわと気持ちよすぎてびっくりした。


イザヤが動く度に、舟がゆらゆら揺れて……ちょっと船酔いして気持ち悪くなったけれど、それでも私は幸せだった。



新しい白いウェディングドレスは、汚さないように脱いでしまった。




****

「……温泉、入る。」

コトが終わった後、私はイザヤにそう訴えた。



私に覆い被さったままぐったりと目を閉じていたイザヤが、けだるげに身体を起こした。



私も、起き上がって、きょろきょろと周辺を見回した。

「あっち?」


うっすら見えるオースタ島の影から推察して、温泉の位置を尋ねる。



イザヤは汗で額にくっついた髪をかき揚げた。

……あまりにも色っぽいというか、美しいというか、かっこいいというか……とにかく扇情的過ぎた。