ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

はあ?

そんな立派な格好して?

お飾り人形?



唖然としてる私の肩から、何を思ったか、鳥の伊邪耶がパタパタと飛んで、イザヤの肩に着地できず、腕にしがみついた。


「いざや!」


慌ててそう呼んだら、伊邪耶は優しい声で言った。


「イザヤ。カワイイ。カワイイ。カワイイ。」



なぜか三回もかわいいと言った伊邪耶に、イザヤは苦笑した。




「つまり、イザヤは貴族のおぼっちゃまなんだ。団長ってことは?王族とか、公爵家とかだったりするの?」

伊邪耶をチョイチョイとかまって、機嫌の良さそうなイザヤにそう聞いてみた。



「いや。うちは貴族の中では、現在は、中の上ってところだ。団長なのは、年功序列だ。」


へ?

年功序列?



「イザヤ、まだ若そうに見えるけど。」

「……それはどうかな。少なくとも、そなたよりはかなり年上だが?」


おーっと?

今のって、もしかして、私がイザヤに敬語じゃないことに対して嫌味を言われた?



「いくつ?」

「25だ。そなたは16と言ったろう?9つ、私が年長だな。」


心なしか、イザヤは胸を張った気がする。


やっぱり敬語のほうがいいのかな。



……ま、いいや。


「私の両親もね、9つ違いなの。……そっかぁ。イザヤ25歳なんだ。……いやいやいや、やっぱり若くない?近衛騎士団って、みんな、そんな若いの?……アイドル集団?」


「騎士団は、未婚の子弟が所属する。たいていの貴族の男は20歳で結婚する。……だから私が団長だ。」


「早っ!……貴族の娘は?」



イザヤは、ちろりと意味ありげに私を観て、それからふんと鼻を鳴らした。


……嫌味なぐらいかっこよかった……。



「ちょうどそなたの年齢ぐらいだな。16歳。」


「……ふうん。一応、日本の法律でも女は16歳で結婚できるってことになってるわ。……現実には、そんな人、ほぼいいひんねんけど……この世界では、16歳でみんな結婚するんや……。」




私、まだ子供だと思ってたけど、そうか……この世界では、そういう歳なんだ。


あ、夕べ、イザヤに言われたこと、思い出した。

女の利用価値は性的欲求の解消対象と、子供を産む道具ってか?


……くそムカつく……。





「照れたりニヤケたり不機嫌になったり、そなたは忙しいな。」

当のイザヤはそんな風に言って、伊邪耶に頬ずりした。



……てか、頬ずり!

ずるい!

私の~~~!