「……利用価値がなければ、私も、自由を奪われるの?」
あ。
余計なこと、言っちゃった。
やばい?
内心ドキドキしてることを悟られないように、敢えてティガに強い視線を向けた。
ティガの銀色の瞳に光が揺れた。
感情が読み取れない。
逆に、鏡のように、自分の虚勢が映っているような気がしてくる。
しばしの沈黙のあと、ティガは口元を緩めた。
「まいらは、イザヤどのの庇護下にあるではありませんか。」
……あ……やっぱり、ティガって……タヌキだ。
そのイザヤの立場が危うくなることには触れないんだ。
怖いな。
でも、それならそれで、いい。
腹を括ろう。
いつか、……敵に回るかもしれない。
ティガだけじゃない。
シーシアも、リタも、ドラコも。
イザヤだけ。
私には、イザヤだけ。
ゴソゴソと、鳥の伊邪耶が顔を出した。
「イザヤ、カシコイ、イザヤ、カワイイ。」
そうね。
伊邪耶も、いつも一緒ね。
イザヤと伊邪耶。
私が、しっかりして、守らなきゃ。
私はそっと鳥の伊邪耶をふところから出して、上に掲げた。
伊邪耶は降りしきるヴィシュナの花びらに興奮したらしく、バタバタと羽ばたいた。
「イザヤ、トンダ……イザヤ、オチタ……」
……そうして、花びらと共に伊邪耶は、へちゃりと落ちてしまった。
「大丈夫ですか?」
私だけではなく、ティガも駆け寄って来た。
伊邪耶は、羽根を中途半端に広げたまま、ずりずりと這ってから、ようやく自分の足で立った。
未熟な指でも、不自由な足でも、再び桜の花びらを追う伊邪耶。
自然と涙がこみ上げてきた。
「……大丈夫じゃないと思う。でも、諦めない。自分で、何とかする……。」
意地を張っているつもりはなかったけれど、私はそう呟いた。
*******************************************************************
第4章「花散るとき恋に我死ぬ」が終了しました。
あと3章分、がんばります。
引き続き、お楽しみくださいませ。
感想などいただけますと、励みになります。
よろしくお願いいたします。
あ。
余計なこと、言っちゃった。
やばい?
内心ドキドキしてることを悟られないように、敢えてティガに強い視線を向けた。
ティガの銀色の瞳に光が揺れた。
感情が読み取れない。
逆に、鏡のように、自分の虚勢が映っているような気がしてくる。
しばしの沈黙のあと、ティガは口元を緩めた。
「まいらは、イザヤどのの庇護下にあるではありませんか。」
……あ……やっぱり、ティガって……タヌキだ。
そのイザヤの立場が危うくなることには触れないんだ。
怖いな。
でも、それならそれで、いい。
腹を括ろう。
いつか、……敵に回るかもしれない。
ティガだけじゃない。
シーシアも、リタも、ドラコも。
イザヤだけ。
私には、イザヤだけ。
ゴソゴソと、鳥の伊邪耶が顔を出した。
「イザヤ、カシコイ、イザヤ、カワイイ。」
そうね。
伊邪耶も、いつも一緒ね。
イザヤと伊邪耶。
私が、しっかりして、守らなきゃ。
私はそっと鳥の伊邪耶をふところから出して、上に掲げた。
伊邪耶は降りしきるヴィシュナの花びらに興奮したらしく、バタバタと羽ばたいた。
「イザヤ、トンダ……イザヤ、オチタ……」
……そうして、花びらと共に伊邪耶は、へちゃりと落ちてしまった。
「大丈夫ですか?」
私だけではなく、ティガも駆け寄って来た。
伊邪耶は、羽根を中途半端に広げたまま、ずりずりと這ってから、ようやく自分の足で立った。
未熟な指でも、不自由な足でも、再び桜の花びらを追う伊邪耶。
自然と涙がこみ上げてきた。
「……大丈夫じゃないと思う。でも、諦めない。自分で、何とかする……。」
意地を張っているつもりはなかったけれど、私はそう呟いた。
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あと3章分、がんばります。
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