私の胸元で、ゴソゴソと鳥の伊邪耶が動いた。


暑くなったのかな?

……でも、伊邪耶は潜り込んだまま、顔を出さない。


伊邪耶も、シーシアの異様な雰囲気は苦手なのかな。




シーシアは、すっかり元気になったらしい。


……てか、そんなにも、イザヤとの結婚がストレスだったのかと、改めて、苦笑いが出た。


「シーシアが、イザヤと結婚しないんだか、離婚するんだか、知らないけどさ、私はイザヤのそばにいることにしたから。もし私に、何らかの協力を要請するなら、イザヤの安全も保証して。」

最後の言葉は、シーシアではなく、ティガに伝えてくれたらいいと思って言ってみた。


シーシアの顔から笑顔が消えた。

「……そんなに……イザヤさまのことを、愛していらっしゃるのですか?」


「逆に、シーシア、イザヤのこと嫌い過ぎじゃない?」


さすがに、「愛してるわ!」なんて、恥ずかしくて言えない。

質問返しでごまかしたら、シーシアは黙ってしまった。



やれやれ。

これ以上の話は不要かな。

目的は果たしたし、もう、いいか。


私はティーカップをお盆に戻して、シーシアに言った。

「せっかくシーシアがヴィシュナの花を咲かせてくれたから、モーニングはお花見しながらいただくね。……それから、今日オースタ島に行ってくるね。」


シーシアは眉をひそめた。

「あの島は、不吉です……。」


「んー。でも、私、あの島に落ちてきたみたいよ?宗教関係なく、私にとっても大事な場所みたい。もしかしたら、あの島から元の世界に帰れるかもしれないってイザヤも手を尽くしてくれてるし……。」


「……だから、不吉なのです。あの島も。イザヤさまも。……わたくしたちは、まいらさまに、お帰りいただきたくはないのです。……なのに、どうして、イザヤさまは……。」


……立場の違いだよな、もう。


なぜか、シーシアとティガは私を過信して、側に置こうとしてる。

ありがたいけど、期待される理由がよくわからないし、あまりしつこいと、煩わしくなってくる。



イザヤは、初めてオースタ島に連れて行ってくれたとき、私を元の世界に帰そうとしてくれていた。

本当に帰れるか帰れないかは、今でも、よくわからない。

でも、あのとき、イザヤは私がこの世界にいる期間は、庇護する気になってくれた。


私を利用するのではなく、一緒に楽しく暮らせるようにしてくれた。