ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

たしかに身体はぐったりしているけれど、私は渾身の力を振り絞って起き上がった。

「そうやった!あのね、朝イチで私が、シーシアを慰めに訪ねたら、たぶん、シーシア、良心の呵責に耐えかねて懺悔してくれると思うねん。せやし、朝までに帰る!行こう!」


「……そなた……そんなことを企んでいたのか……。」

さっそく身支度を始めた私に、イザヤは呆気にとられたようだ。


「だって死活問題やもん。……私が白い結婚を知らないふりしても絶対ティガにばれる自信あるもん。シーシアから聞いたって言えば、イザヤは約束を破ったことにならへんし。帰ろう。」


……そんな約束になんの効力もないだろうと思っていることは、敢えて言わなかった。




イザヤは苦笑して、私を腕に捉えた。

そして顔中にキスを落としながら、言った。

「……つい今しがたまで、あんなにかわいらしかったというに……また、色気のないまいらに戻ってしまった。……まあ、よい。では、予定通り、今宵ふたたびここに来るとしよう。正装して神殿の神々に永遠の愛を誓おう。着替えを持ってきて温泉にも入ろう。夜通し……いや、数日滞在して、昼も夜も、そなたの声が枯れるまで、鳴かせてやろう。……次は、そんな風に、さっさと帰ると言えないぐらい……そなたを壊すことにしよう。」



こわっ。

何、されちゃうんだろう。



私はよほど不安そうな顔をしたのだろう。

イザヤは楽しそうに笑った。

「馬鹿者。そんな顔するな。……そなたには、気持ちいいことしか、しない。楽しみにしておればよい。」


「……うん。」

蚊の鳴くような声で私はうなずき、うつむいた。


恥ずかしいのよ。

ヤッたら平気になるのかと思ってたけど、やっぱり、恥ずかしいのよ。


たぶん2人でお風呂も、やっぱり恥ずかしいわ。

バスタオル巻いて入ろう!



**


まだ暗いうちに、オースタ島を出ることができた。


帰りは、当たり前のようにイザヤがオールを握った。


「夜明けまでに帰れそうだな。」

そう言って、イザヤはふたたびハイスピードでボートを漕いだ。


躍動する筋肉のなまなましさに、私は行為の最中のイザヤを思い出して……ドキドキした。


あんなに綺麗なんだもん。

ドラコと違って、傷もない。


白いなめらかな肌、すべすべで、気持ちよかったなあ……。