ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

座禅して瞑想してるうちに、夜が明けた。


明るくなった部屋を見渡す。

部屋には空っぽのクローゼットもあるようだ。

小さな窓は開閉できないはめ殺し。


覗き込み、外を眺める。


海?

あ、そうか。

湖だ。


私、琵琶湖から来たんだもん。



よくわからないけど妙な確信をもって、私は朝日にキラキラ光る静かな水面を眺めていて……気づいた。


太陽が2つある?


……スターウォーズだ!

惑星「タトゥイーン」だ!


いや、あれはSFだけど、実際に宇宙で発見されてるんだっけ。


ええと……何だっけ。


……。


あ!

そう!思い出した!

ケプラー16bだ。



……あれ?


ということは、ここは地球ですらないってことか。



異世界って、太陽系外の惑星なのかしら。




「太陽が2つなら、月はいくつあるんやろ。」


ついそう声に出したら、チュン!と、伊邪耶がさえずった。


「おはよう。いざや。おいでおいで。」


そう呼んだら、伊邪耶は少しためらってから思い切って踏み切った!


必死の形相で、バタバタと大きな重たい音をさせて羽ばたく伊邪耶。


何とか床に落ちきる前に、私の太ももにしがみついたので、慌てて手ですくい上げた。



「いざや、かしこかったねえ。えらいえらい。よく飛べました。……お腹すいた?」


かばんから少し餌を出して手のひらに乗せると、伊邪耶はまずは大好きなオーツ麦にがっついた。


かわいいなあ、もう。


デレデレになって、私の手に乗って餌を食べてる伊邪耶に見とれてると、ドアが開いた。




ツカツカと入ってきたのは、偉そうなイザヤ。


さっきのゆるい格好とは違って、なんだか美麗な白い軍服のようなものを身に付け、帯剣していた。


でも、明らかに実用性よりも装飾に重点を置いてあると思う。


白地にところどころ、金と銀に輝く紋章が浮かび、色とりどりの勲章が光ってる。


てか、ブーツまで白って!


このヒト、白兵戦はしないんだろうな。



「……おはようございます。私の世界では、お部屋に入る時はノックしたり、声をかけるけど、ここではどうすればいいの?」

嫌味ではなく、確認したつもりだった。
 
……でもこれって京都では、わかりやすい嫌味だ。



イザヤにはどう聞こえたのだろう。


わからないけど、イザヤは鼻で笑って胸を張った。