ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

言いにくいんだけど、イザヤとそーゆー関係になってからなら、まあ、……慣れて、どうでもよくなるものなのかなあ?


いや、でも、恥ずかしいよ、やっぱり。

どう考えても、恥ずかしすぎる!



……まあ、場所と仕組みはわかったから……今度独りで来ちゃうという手も……。


イザヤ、怒るかな。


どうしよう……。



しどろもどろになっている私を、愉快そうにイザヤは笑った。


「そうか。では、太陽が昇ってからにするか。」

「……それはそれで、恥ずかしいんやけど。……着替えとか準備してから、改めて、来よう?」


何とか今日のところは誤魔化そうとした。



イザヤのきれいな青い瞳に金色の光がさした……月の欠片の反射光が映ったみたい。

綺麗だなあ……と見とれた。



「いずれにせよ、そなた独りで湯船と管を引き上げることは不可能であろう。遅かれ早かれ、共に楽しむことになるが……まあ、よい。今宵は、私も気が逸っている。行くぞ。」

イザヤはそう言うと、ボートのオールを握った。

力が漲り、筋肉が脈動する。


邪魔しちゃいけないと、私は慌ててイザヤから離れた。


イザヤは目を細めた。


「イイ子だ。」

そう言うなり、イザヤはボートを漕ぎ始めた。



速い!

今までの優雅な船遊び航行と全然違う。


……やっぱり、ちゃんと、力の強い軍人さんなんだなあ……と、改めて感動した。




驚くほど速く、ボートは進み……あっという間に、オースタ島に着岸した。


「お疲れさま。めっちゃ速かった。これもお薬の効果?あとで、反動がきそう。大丈夫?」

手早く繋留するイザヤにそう尋ねた。


「……のん気なことを。薬の本当の効力は、これからそなたが身をもって知ることになるというに。」

「……。」


えーと……やっぱり、……今夜、するの?

ここで?


返答に窮してしまった。



するとイザヤも困ったらしい。

「……嫌か?」


不安そうな声。



……ずるいなあ。

その聞き方、ほんと、ずるい。



「嫌……じゃ、ない……。」

正直に答えた。


でも、明らかにほっとしたイザヤを見たら、つい、さらなる本音もぶちまけてしまった。

「嫌じゃないけど、恥ずかしい。それに、今夜だと、逃げたシーシアの身替わりみたいで、ちょっと、おもしろくない。それから、ここ、神殿なのに、そんなことしちゃうってことに、めっちゃ抵抗感ある。しかも、石造りやし、かたいよ?冷たいよ?痛いの、やだ。」