ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

何だか、きわどい話になってきたぞ。

初夜の儀式って、本当に「初夜」なんだ。

……そりゃまあ、一発で受胎が成功するとは限らないよね、うん。


「妊娠するまでチャレンジするんじゃないの?シーシアはイザヤの子供を産む義務があるんでしょ?」

一応、イザヤはこの館の主だし、貴族だし、騎士団長だし……跡取りは必要だろう。


でもティガは首を横に振った。

「お2人ともお望みとは思えません。イザヤどのは他の女性……たぶんまいら、あなたをお召しになるでしょうし、シーシアさまは信仰に生きられるのではないでしょうか。」


信仰?

信仰って、また神の花嫁に戻るわけじゃないよね?



「カピトーリの僧院にでも入るの?」

「それは、まだわかりません。」

ティガはそう言って、ため息をついた。



何だか、いつものティガらしくない気がした。


「ティガも疲れた?……てか……なんか……落ち込んでる?」


そう尋ねると、ティガはハッとしたように顔を上げて、それからくしゃっと泣き顔のような微笑みを見せた。


「……自覚してませんでしたが、まいらの言う通りです。いささか落ち込んでます。シーシアさまとイザヤどのがうまくいってないことは存じ上げてましたが……まさか、シーシアさまがイザヤどのに怯えるあまり、まったく向き合おうとすらしてないとは思いも寄りませんでした。以前のシーシアさまでしたら、いつか神の愛が異教徒にも通じるはずだと、歩み寄る努力をされたはずなのですが。」

まるで、出来の悪い生徒にがっかりしてる先生のように、ティガは嘆いた。



***


シーシアがいなくなった途端、暑さが戻って来た。

なんだか、変な汗をかいて気持ち悪くなった私は、夕方、浜辺の温泉へリタを誘った。


案の定、リタは私よりはるかにナイスバディだった……。

……綺麗な胸をサラシみたいな硬い布でつぶしてしまってるのが、何だかつらい。


「私も、もう少し、欲しいなあ……。」

イザヤに嘆かれた、なけなしの小さな胸を見下ろして、ついついそうこぼしてしまった。



「うーん。慰めてあげたいけど、確かに、まいら……ないね。あげられるものならあげたいけど。そういうわけにはいかないよねえ。」

胸なんかいらないと思っているリタにまで、同情されてしまった、かわいそうな私の貧乳……。


しょんぼりしてると、リタが背中を撫でてくれた。