全てを失っても手に入れたい女がいる 2


魁斗が居なくなって2ヶ月が経ち、迫とのコラボやファションショーの準備で、今迄以上に仕事に追われていた涼夜。

「涼夜、もう披露会場は抑えたのか?
仕事も大切だろうが、妃都美《あちら》は双葉銀行頭取の御息女だ。披露宴には財界の方々も招待するだろうし、招待する人数も多いだろう。
早く会場抑えないと駄目だぞ?
良ければ私の方で会場の手配などやっても良いが?」

経営不振に陥っている会社の為とは言え、自分の恋人である女と息子である涼夜の結婚準備の進み具合を心配する雅に、涼夜は呆れていた。

よくもまぁ言えるよな…?
自分の子を孕んでいると分かっていながら俺に押し付けて…

だが、雅が心配するのも頷けるほど、最近の涼夜は家にもほとんど帰らず仕事におわれ、鮎 妃都美との結婚の準備は全く進んでいなかった。

仕事していれば余計な事は考えずに済むと、涼夜は寝食の時間を減らしてまで、宣伝を兼ねTVの仕事を入れていたのだ。