TVの収録の為、TV局へ向かった涼夜。
思ったより時間が掛かってしまった涼夜は、TV局へ入ると急ぎ控室へ向かうと、先に入っていた魁斗が衣装を用意して待っていた。
「遅くなって悪かったな?」
「急げよ?」
いつもと変わりのない会話だが、魁斗の顔は少し緊張してる様だった。
「今日、この後何も無いよな?」と予定を聞く涼夜に、魁斗は顔を背けたまま、返事をした。
そして、涼夜は急ぎ着替えを済ますと、控え室に呼びに来たテレビ局のスタッフと一緒に収録スタジオへと向かった。
今日の収録は、ベテラン女優との対談だった。
初めは、MCによる涼夜の経歴などを紹介され、女優からは台本通りの質問が幾つかされた。
だが‥
『聞く所によりますと、涼夜さんは女性より男性がお好きとの事ですが、本当なんですか?』と、少し食い気味に聞く女優。
「えっ?」
予定外の質問に、一瞬涼夜の顔色は変わったが、涼夜も慣れたもので、直ぐに表情を戻しニッコリ笑った。
『あっ、ごめんなさいね?
私、気になる事はハッキリ聞くたちなもので‥?
答えたく無ければ答えたくても良いですよ?
でも、視聴者の方はとても気になってると思うし、誤解なら今後の為にも、ここでハッキリおっしゃった方が良いと思うんですよ?
涼夜さんの為にも?』と、あくまでも興味本位ではなく、女優は善意で聞いてるかの様に言う。
大きなお世話だけど?と涼夜は思いながらも、女優から収録スタジオの隅へ視線を移すと、魁斗は電話を掛けていた。話してる相手も内容も分からないが、魁斗の顔色が変わってゆくのだけは、離れている涼夜にも分かった。
「多分…僕と魁斗《ひしょ》との仲をお聞きしたいんだと思いますが‥?
少し、フランスにいた頃の話をさせて頂いても宜しいですか?」と言って、涼夜は魁斗と出会った頃の話を、懐かしむ様に語った。
涼夜の話が終わると、『で、本当のところは?』と聞く女優に「僕は、女性も男性も好きです。
僕を信用し慕ってくれる人には、性別問わず愛情を向けます」と涼夜は話した。

