全てを失っても手に入れたい女がいる 2


雅が提案を承諾すると、涼夜は何処かに電話を掛けた。すると、直ぐにドアがノックされ、雅の秘書が姿を現した。

「お話中、失礼いたします。
いま、下に弁護士の先生がおみえになってると連絡が有りましたが、お通ししても宜しいでしょうか?」

「お前が呼んだのか?」と聞く雅の顔には、涼夜に対する猜疑心が強く現れていた。

「ええ。
商談成立したなら、書面に残すべきだと思って弁護士の先生には待機して貰ってました。
でも、鮎頭取の前ではちゃんと演技はしますから、ご心配なく?」

雅が秘書に弁護士を通せと言うと、涼夜は秘書に紅茶を淹れてほしいと頼んだ。

そして「ねぇ、今日もあれ持ってる?」と尋ねると、秘書は一瞬考え「‥花砂糖‥ですか?」と涼夜に尋ねた。

「うん!持ってたら、紅茶と一緒に1つ貰える?」と言う涼夜に秘書はニッコリ笑って「ご用意いたします」と言う。