翌朝、高城のドアをノックする音で目を覚ました魁斗は、隣に涼夜の寝た形跡の無い事に驚き、隣の部屋へ続くドアをあけると、机に向かいデッサンノートへ無心にデザインを描く涼夜が居た。
「おまえ‥ずっと仕事してたのか‥?」
時が経つのを忘れていた涼夜は、魁斗の声に夜が明けたことを始めて知った。
「あーもう朝‥か?
あー腹減った! さぁ飯食いに行くか?」
「あ、ああ‥」
涼夜の言葉に、魁斗も一緒にダイニングルームへと向かった。
ダイニングルームには、二人よりも先に雅が先に着いて居た。
普段の雅は、涼夜達が席に着いた事を報告受け、二階の部屋から降りて来るのだ。
だが、今日は二人よりも早く、洋服も昨日と同じ物を着用していた。
「‥お父様おはようございます。
今日はお早いですね?」
服くらい着替えたらどうなんですか‥?
いかにも朝帰りしましたって顔して‥
どうせ、妃都美(あの女)とあっていたんでしょ?
「あゝおはよう。あ、魁斗君、今日の涼夜の予定はどうなってる?」
チッ!俺の質問はスルーかよ?
まぁ‥息子の見合い相手の相手をしていて、朝帰りしたなんて、絶対言えないでしょうけどね?
「‥今日は17時からTVの収録が入ってます」
「じゃ、良いな?
涼夜、今日、午後から鮎頭取が会社にお見えになる事になってるから、おまえも同席しなさい!」
「融資の件ですか?」
「あゝ、昨日のうちに良い返事は頂いてるが、最後まで分からないからな?」
「‥分かりました」
「涼夜、昨日の様な失礼な事は、言わない様にしろ!」
「‥はい!
鮎頭取がお見えになる前に、お父様に少しお話ししたい事があるので、朝からご一緒させて頂いても宜しいですか?」
「話なら、今聞いても良いが?」と言う雅に、涼夜は会社で話したいと言う。
「魁斗、TV局には直接向かうから、俺の衣装持って先に行っててくれる?」
「分かった‥遅れるなよ?」

