部屋に入るなり、魁斗は再び涼夜に詰め寄り、今日の行動について話を聞かせろと言う。
「生放送に出るとか、俺聞いてなかったけど!?」
魁斗の質問に、涼夜は全く悪びれる様子もなく「ギャラってどうなるのかねぇ?」と、出演料の心配をしていた。
「‥‥で、見合いは?」
「なかなか綺麗な女だったし、結構楽しかったよ?」
「じゃ、融資の方は上手くいったのか?」
「俺がやる仕事で上手くいかない訳ないでしょ?勿論、上手く行ったさ!」
「えっ!?
じゃ、涼夜おまえ結婚するの?」
「んーそうなるかもね?」
「えっ!だってお前あの女探す迄、結婚しないって‥」
「まぁ、色々考えたらさ?
いつまでも過去に囚われてても仕方ないし、ここらで新しい家族持つのも良いかなって?
性格は置いといて、なかなかの美人だったしね?」
「‥‥お前本気なのかよ?」
「そろそろ魁斗《おまえ》も解放しないと悪いでしょ?」
「俺は‥‥」
涼夜の言葉に、魁斗はいつもと違って口籠っていた。
「今夜は仕事するわ!」と言って、部屋続きの隣の仕事部屋へと涼夜は入って行った。
涼夜は、仕事部屋のデスクに着くと、デッサンノートと鉛筆を手に取るが、窓の外へと目を向け、夜空に輝く星に暫く見入っていた。
そして、なんどもデザイン画を描いては破り、描いては破りを繰り返し、その日、涼夜が眠る事は無かった。

