むかしむかし…ちょっと昔のお話

丘の上に大きなお城がありました。
そのお城の中には、毎日イタズラをしては皆んなを困らせ、無理難題を言っては使用人達を困らせる、小さな王子様が居ました。

困り果てていた王様は、王子様を遠い海の向こう国の寄宿舎へ入れる事にしました。

王 子 「父上、僕は絶対行きませんから!」

王 様 「既にこの父が決めた事、王の命令は如何なる者であろうと逆らう事は許さぬ!」

納得のいかない王子は、同い年の召使いを1人連れて城を抜け出し、町へと逃げ出したのです。

召使い 「王子様 やっぱり帰ったほうが…」

王 子 「帰りたきゃ、お前1人で帰れば良いだろ」


見た事も聞いた事もない国へ
僕1人だけで行けなんて、父上も酷すぎる!
…お母様と離れるなんて…
もぅ絵本も読んでもらえない…

誰がご飯を食べさせてくれるの?
誰が靴下履かせてくれるの?
一人なんて嫌だよ…
そんなの…そんなの嫌だ…
悲しいよ…

(…ぐっすん)

小さな王子様は、お城の皆から初めて離れ、淋しさを知り、悲しさの余り涙が止まりませんでした。
召使いもまた、どうしたら良いか判らず泣き出してしまいました。

二人して泣いていると、子犬を連れた可愛い女の子が近寄って来ました。

女の子 「ねぇ二人して泣いてどうしたの? どこか痛いの? これお婆ちゃんに貰った魔法のアメなの、舐めると笑顔になれるのよ? 笑顔で居ればきっと良い事が有るって、うちのお婆ちゃんが言ってたわ」

女の子はそう言うと、王子様と召使いの口に一つずつ
星型のアメをくれました。
すると不思議な事に、王子様と召使いの涙は止まり、二人とも笑顔になったのです。

召使いは女の子にお礼を言い、王子が女の子の名前を聞こうとした時、遠くの方で「マリー?」と大人の女性が呼び、女の子は「呼んでるから行かなきゃ!」と言って、「バイバイ」と笑顔で去って行きました。

女の子が去ったすぐ後、王子様達を探していた、お城からの迎えの馬車が王子様達を見つけ、無事二人はお城へと戻りました。 おわり