「僕も瑠璃ちゃんのことが大好きだから名前で呼んでいるし、こうしてデートしたいって何度もお兄ちゃんにお願いしたんだ!」

 予想外の告白に瞬きさえできなくなる。すると圭太君は私の腕にしがみついたまま、副社長を見た。

「さっきはお兄ちゃんのことを褒めたけど、それは対等な立場で勝負したいからだからね? 僕、ズルして勝ちたくないから」

 堂々と宣戦布告した圭太君に、少しして副社長は必死に声を押し殺して笑った。

「そうか、それはありがとうな。……悪いけど圭太、瑠璃ちゃんだけは渡さないからな?」

「僕だってそうだよ! 歳の差なんて関係ないし。瑠璃ちゃんを笑顔にできるのは僕だけだから」

「言ったな」

「うん!」

 バチバチと火花を散らすふたりを眺めながら、私の頭の中はパニック状態に陥る。

 圭太君の告白にもびっくりしたけれど、副社長も本気なの?
 彼なら選り取り見取りなのに、どうして私? 他に見合う相手はいくらでもいるのに……。

 熱い想いをぶつけられ、私は戸惑うばかりだった。