私の返事を聞くと副社長は満足そうに頷き、「今度こそ仕事に戻るよ」と言いながら上機嫌で自室に入った。
パタンとドアが閉まる音が聞こえてくると、自然とため息が零れる。
途中になっていた片づけをしながら、ふと思う。帰国後、なにかと副社長に振り回されている気がしてならないと。
しかし悔しいことに、仕事面では尊敬せざるを得ない。重役会議で啖呵を切ったのも、簡単に人員削除すればいいという重役たちに反発してでしょ? 彼は誰よりも社員ひとりひとりのことを、大切に考えてくれている。
そういうところ、父親である東雲社長にそっくりだから本当に困る時がある。
片づけを済ませ、私も自分の仕事に取りかかる。
今日は副社長の就任祝いを頂いた方へのお礼状を書いて、一緒に送るギフトを見に行かないと。食事に行くことになったし、予定より前倒しして取りかからないと終わらなくなる。
いつもより集中して仕事にあたった。
定時を十五分過ぎて副社長と共に会社を出て、彼付きの五十代くらいの男性運転手の高瀬(たかせ)さんの運転で向かった先は、なぜか高層マンションが立ち並ぶ開発都市街。
「あの、副社長どちらに向かっているんですか?」
どう見てもライバル社のホテルに向かっているようには見えない。
パタンとドアが閉まる音が聞こえてくると、自然とため息が零れる。
途中になっていた片づけをしながら、ふと思う。帰国後、なにかと副社長に振り回されている気がしてならないと。
しかし悔しいことに、仕事面では尊敬せざるを得ない。重役会議で啖呵を切ったのも、簡単に人員削除すればいいという重役たちに反発してでしょ? 彼は誰よりも社員ひとりひとりのことを、大切に考えてくれている。
そういうところ、父親である東雲社長にそっくりだから本当に困る時がある。
片づけを済ませ、私も自分の仕事に取りかかる。
今日は副社長の就任祝いを頂いた方へのお礼状を書いて、一緒に送るギフトを見に行かないと。食事に行くことになったし、予定より前倒しして取りかからないと終わらなくなる。
いつもより集中して仕事にあたった。
定時を十五分過ぎて副社長と共に会社を出て、彼付きの五十代くらいの男性運転手の高瀬(たかせ)さんの運転で向かった先は、なぜか高層マンションが立ち並ぶ開発都市街。
「あの、副社長どちらに向かっているんですか?」
どう見てもライバル社のホテルに向かっているようには見えない。



