俺様副社長は愛しの秘書を独占したい

「ちなみに今は……照れているのかな?」

 また言い当てられ、いよいよなにも言えなくなった私は、ただ彼からカップを受け取ることしかできなかった。

「お目通しいただきたい書類のほう、机上にございますのでよろしくお願いします」

「了解」

 給湯室から出ていこうとする姿にホッとした時、なぜか急に足を止めた。

「そうだ、肝心なことを言い忘れてた。さっきの話に戻るけど瑠璃ちゃんは秘書として、俺の力になってくれる?」

「それはもちろんです」

 副社長をサポートするのが私の仕事なのだから。
 すると彼はニッと白い歯を覗かせた。

「じゃあ今夜、食事に付き合って」

「……それは業務時間外ですか?」

「そうだよ、完全なるプライベート時間」

「でしたら丁重にお断りいたします」

 すぐさま返事をすると、副社長は顔をしかめた。

「さっき俺の力になってくれるって言ってくれたばかりだろ?」

「それは仕事面でのお話です。プライベートでお力になるつもりはございませんから」

 はっきりと伝えると、降参と言うように両手を挙げた。

「本当につれないなー、瑠璃ちゃんは。……まぁ、そういうところも魅力のひとつだけどね」

「……っ!」

 殺し文句にぐうの音も出ない。そもそもいつになったら名前呼びを直してくれるのだろうか。