優のヤツ…。


校門に茉由さんがいるのが見えて、気持ち早歩きになった俺は彼女が好きなんだなと改めて思った。


『 " 今は " ですよ。先輩方。』


俺が出て行った部室で、優がニヤニヤしながらこんなこと言ってるなんて知らずに。


自分のことを一番わかっているはずの自分が、自分の目に映るモノはこれに違いない、と思い込んでいた。


夕焼けに染まる帰り道、茉由さんの横顔を見ながら、綺麗だな、と思った。


一緒に帰ることすら誘えないヘタレな俺には、眩しすぎる世界だ。