佐藤くん!!!!と声をかけようとした時、 『蒼!!!』 心地の良い透き通るような声が耳に入ってくる。 マネージャーさんだ、確か。 美人だ!って噂の山下先輩。 幸いあたしの存在は2人には気づかれてないけど、なんとなく近くの物陰に隠れてしまった。 『お疲れ様です。茉由さん。』 “ 茉由さん ”と呼んだ彼の顔は夕陽のせいもあるのか少しだけ赤く染まっていて、心なしか穏やかな優しい表情をしている気がした。 ズキッと心が音を立てる。