『やば!バイト行かなきゃだ!あたし帰るけど、陽どうする?』


「うーん、あたしはもうちょっとだけここに居てから帰るよ!」


なっちゃんと一緒に帰っても良かったんだけど、なんだかもう少し居たい気分。



『わかった!最後まで一緒にいられなくてごめんね!あわよくば佐藤と一緒に帰っちゃえ!!また明日ね〜!!』


なっちゃんの声がデカすぎて、他の子からの視線が痛い…。


「な、なっちゃんん……もう……。また明日!」


あの子、抜け駆け?っていう感じで見てきてる女の子たちにえへへへという視線を送ってなんとかその場を乗り切る。



コートにモップを掛けてみんなが体育館を出始めても、あたしはぼーっとしたままで、いつのまにか見学の女の子たちは居なくなっていた。


…そろそろ帰らなくちゃ。
重くなった腰をあげる。


体育館を出て、玄関に歩き出そうとした時、前の方の人影に気づく。