「えっ…?」


思わず心の声が漏れてしまう。


茉由さんが少し怖いくらいに真剣な顔をして俺の腕を掴んでいたからだ。


どういうことかわからなくて、掴まれた腕をじっと見ることしかできない俺。


少しの間の後、茉由さんはいつもの笑顔に戻る。


『あの子ならお友達がいるから大丈夫だよ?』


なんのこと?と思っていると、後から新木さんが凄いスピードで俺たちの横を駆けて行った。


新木さんが居れば俺の出番はないな。


「そうですね。」


軽く返事をして自分の場所に戻ろうとしたけど腕は掴まれたままで茉由さんは動こうとしない。


「茉由さん…?」


どうしたんですかという意味を込めて先輩を見つめる。


『蒼、今日一緒に帰れない?』


また茉由さんに言わせてしまった。


「大丈夫です。ホームルーム終わったら校門のところに居ますね。」