6月某日。
俺は勝手に決められた種目の出番を待っていた。
あ、借り物ね。
種目決めの最中に寝てたわけじゃないのに、『蒼が借り物でたら盛り上がるんじゃね?』とかいう俺の親友のご迷惑な一言のせいで何故か決まってしまった。
もともとみんな出たがらない種目だし。
クラスの中心にいて盛り上げ隊長的なところがある優の意見に反対するやつなんかいなくて、いいじゃん!と盛り上がるもんだから拒否しづらくて受けてしまったけど、今からでも逃げたい。
逃げられるわけないんだけど。
はぁ、とため息をついて自分の出番を待つ。
1年が終わり、次は俺たちの番だ。
ふぅ、と少し息を吐いてスタート位置に着く。
パン!という合図とともに一斉に駆け出す。
箱の中の紙を掴み、お題を確認する。
