きっと、キミのせい



追いかけてきたなっちゃんから逃げ切れるはずもなく、校舎に近いところでバシッと腕を掴まれる。


『陽。』


少しだけ怒っている声色だ。


泣きながら走ってきたせいかあたしは息が上がっていて言葉を発することもできない。


そんなあたしとは対照的になっちゃんは息が全然上がっていない。


「あたしはっ…佐藤くんと…少しでも近づけてたって思ってた……っ。」


乱れた息を整えながら言葉を吐き出していく。


「だけど…勘違いしてた。いや、自惚れてたのかも、あの時、少しでも自分の名前が呼ばれるんじゃないかって思ったことがすごく恥ずかしい…。」


『陽。』


落ち着いて、と言わんばかりにあたしの名前を静かに言うなっちゃん。


でもあたしは止まらない。


「初めて部活見学に行った時に、先輩のことを特別に思ってるんだなって分かってたはずなのに…どうしてあたしって…いつも…先輩に勝てるはずないよ…」


「だって先輩は…」


『あたしと違って綺麗だしって?』


思っていることを…。