すぐ目の前まで来た佐藤くんと目が合う。
ドキドキと胸の高鳴りが止まらない。
『ほら、陽早く!』
なっちゃんがそう言って、トン、と軽くあたしの背中を押した瞬間。
『茉由さん。』
佐藤くんの口から出たのはあたしの名前ではなかった。
あたしのすぐ近くにいたんだ。バレー部のマネージャーの先輩。
自分のことで精一杯で全然気がつかなかったや。
『えっあたし??』
そう可愛らしい声で少し嬉しそうに驚く先輩に、
『来てください。』
とだけ短く答え、ゴールまで走っていった2人。
『お題の確認です!お題は…!ズバリ!気になる人!うん!いいでしょう!A組ゴールです!』
「気に、なる人…。」
『陽…。』
なっちゃんが心配、とでもいうようにあたしを見つめる。
