綱引きかぁ…出来れば出たくなかったけどしょうがないよね。
『陽。』
なっちゃんにしては珍しくヒソヒソと話しかけてくるから動揺する。
「ど、とうしたの?」
『佐藤、借り物競争じゃん!それで好きな人!とかそういう類のを引いてさ、陽を探すとかいうラブイベント発生じゃない??』
ラブイベントって〜。
「もしそんな紙を引いても佐藤くんがあたしを連れて行くなんてことあり得ないから…」
なっちゃんのヒソヒソにつられてあたしもヒソヒソ話す。
『いやいや、佐藤とこの学年の中で一番話してるの陽だってみんな言ってるからね?』
…え?そうなのかな?そんなの初知りだ。
毎日挨拶してる人の間違いではなくて?
勉強会をした日から何度か部活を見学に行ったりしているけどこれといって進展はないので、この学年で一番話せているとは思っていない。
最初の頃に比べたら距離は近づいたんじゃないかなぁと思っているけど。
『そうだよ!陽が一番佐藤くんと喋ってるって!』
あたし達の会話を聞いていたらしい近くの席の子が得意げに言う。
なっちゃんもうんうんと頷いている。