普段はできる限り母さんが病室に来ていて、俺や父さんは来れる時に来ると言う感じだ。


甘えたい年頃なのに俺たちに心配をかけまいと気を遣いながら小さい身体で病気とも闘っている。


「またすぐ来るから。」


『約束だよおにいちゃん!』


そう言って今日いちばんなんじゃないかと思うくらいの笑顔をみせる陸。


じゃあな、と言って病室を出たタイミングで携帯のバイブが鳴る。


【朝比奈です。今日はありがとう!】


続けてありがとう!とクマがお辞儀をしているシュールなスタンプが送られてきた。


なんとも朝比奈さんらしい。


既読だけをつけて家路に着く。


ふっと上を見上げると山の向こうに太陽が沈んでいくところで、空が幻想的な色をしているのが妙に美しいと思った。


今日の俺、陸の言う通り、やっぱ変。


見た目ではなく自分の好きなことを褒められるのは悪くないな。