まぁ、俺にしたら会話が続いた方かもしれない。
ほとんど朝比奈さんが話題を提供してくれたお陰で。
下手したら茉由さんと帰ってもひと言ふた言だ。
そう考えたら俺ダサすぎるな、わかってたことだけど。つまらない男だな。
きっと陸にとってもつまらない兄貴だろう。
本読んでも棒読みだし。
おにいちゃんの読んでくれる絵本、誰が喋ってるかわからない、とか言われたからどんだけ抑揚ないんだよとか思ってしまう。
『おにいちゃん!おにいちゃん?』
陸の声で現実に戻されるのと同時に自分が考え込んでいたことに気づく。
「ごめんごめん。なんだっけ?」
『おにいちゃん、どうしたの?さっきから、変な顔してるよ?』
…変な顔ってどんな顔だ。
『怖い顔をしてたり、笑ってたり変な顔。お熱あるの?』
これでもかというくらい困り顔をして心配してくれてるのがわかる。
「お兄ちゃんの顔はいつもと変わらないよ。陸、お兄ちゃんの顔いつもちゃんと見てる?」
ちょっとだけ口角が上げてみせると安堵の表情をみせる陸。
『ふふふふ。おにいちゃんの普通の顔、ぼくわかんないや。』
4歳児に心配される俺ダサくない?
