「可愛い」があふれる世界へ!

決めた、と言わんばかりにエリザベータは花音の手を取る。急に手を握られ、花音は「へっ!?」と素っ頓狂な声を漏らした。

「今週の日曜日はお互い休みよ。その日は私とデートしなさい」

エメラルドのような緑の目には、驚いて口をパクパクさせている花音が映っている。

「デ、デートって……」

「観光よ!ハンガリーを案内するわ。ちゃんとおめかしするのよ?」

パチン、と可愛らしいウインクをエリザベータは見せ、仕事へと戻っていった。



「デートかぁ〜……」

家に帰り、夕食を作りながら花音は何度も呟く。エリザベータの言う通り、観光地などに行ったことはない。

デートは智紀とは何度も行った。花音は少し嫌な記憶の蓋を開ける。映画館に植物園、遊園地にも行った。デートの前日になる度に、花音は胸を高鳴らせて着ていく服を選んだ。

「……ッいけない!!」

胸がズキンと痛み、慌てて花音は記憶に蓋を閉める。そして料理に集中しようと心がけた。